山道の歩き方
昔は山男だったこともあります。
折角登ったのに下りるのがもったいないので、長期の休暇が取れるときには、よく縦走をしました。
尾根沿いにひたすら雲の上を歩き続けるのです。
日本海の親知らず(海抜ゼロメートル)からスタートして、北アルプスの稜線を歩き続けるという無茶なこともしました。
梅雨明け直後で、まだ誰も歩いた形跡のない山道、ところによっては雨水が集まって小川と化しています。
滑りやすいぬかるんだ道をひたすら登る。その時に会得した歩き方は、“ぴよ”さんの「雪国での歩き方」に通じるものがあります。
それは、しっかり腰を入れて歩くことです。
滑りにくく、たとえ滑っても、身体の重心(すなわち腰)が着地している足の真上からズレない歩き方です。どれだけ滑ろうが、重心が足の真上からズレない限り転ぶことはありません。
スキーのポジションに近いかもしれません。
もうひとつ大事なポイントが、上下動の少ない歩き方をすることです。重心が上下に動くと、そこで発生する力を膝が受け止めることになるため、疲労の原因となります。
なるべく疲れずに長い距離を歩くためには、重心(すなわち腰)が不必要に動かないよう心がけることが大事です。
山道を歩くために大事な第3のポイント、それは下肢の筋肉をしっかり使うことです。
膝が伸びきった状態で着地すると、着地の衝撃はもろに膝の軟骨を直撃します。
これに対し、少しでも膝が曲がる方向に着地の衝撃を逃がすことができれば、力の受け皿は腿や脛の筋肉になります。
こういう歩き方をしていると、筋肉は疲労します。けれど、疲労した筋肉は休めば回復します。ところが、膝の軟骨が痛くなってしまったら、その後数日間は歩行に支障を来すことになります。
下肢の筋肉を使う歩き方は重心の上下動も抑えられます。2番目のポイントにも効いてくるわけです。
アシモのような歩き方になるため若干不格好ですが、山歩きでは重要なポイントだと思います。
もっと早くに体得していたら、今になって膝が痛いとか言わずに済んだのかもしれません。
平地で不格好な歩き方をするな、と指摘されているマイケルでした。